以前のコラムで、小学生と中学生・高校生のお小遣い事情をそれぞれ見ました。
今回は、小学生から高校生までの「お金を貯める」意識と行動についてまとめてみたいと思います。
前回と同じく、2015年度の「子どもと暮らしのお金に関する調査」を見てみましょう。
(1)小学生の約7割以上から9割弱が「お金をたくさん貯めたい」と思っている
低学年で約7割、中学年で約8割、高学年で9割弱が「お金をたくさん貯めたい」と思っています。
学年が上がるにつれ、「お金をたくさん貯めたい」と思っている児童の割合が多くなっています。
(2)中学生の9割弱、高校生の約9割が「お金をたくさん貯めたい」と思っている
中学生の9割弱、高校生の約9割が「お金をたくさん貯めたい」と思っています。
年齢が上がるにつれて、「お金をたくさん貯めたい」と思っている生徒の割合が多くなっています。
(3)中学生の約8割、高校生の7割強が「お金はコツコツ働いて貯めるものである」と思っている
中学生の約8割が、高校生の7割強が「お金はコツコツ働いて貯めるものである」と思っています。
お金の貯め方の基本が「働いて稼ぐ」ということを理解しているようです。
また、年齢が上がるにつれて「どちらともいえない」という回答の割合が高くなっています。
(4)全体の4~5割は、自分の貯蓄が「ある」(対象:小学生中学年~高校生)
小学生中学年から中学生までは、約4割が「自分の貯蓄がある」と回答しています。高校生は5割強が「自分の貯蓄がある」としています。
自分の「貯蓄はあるようだが、家の人が管理しているのでよくわからない」という回答は、全体の2~3割となっています。
年齢に上がるにつれて「自分の貯蓄がない」、「わからない」と回答している割合は、少なくなっています。
(5)中学生の約3割、高校生の約2割が「定期的に貯蓄している」
中学生の約3割が「定期的に貯蓄している」と回答しています。9.4%が「毎週・毎月など定期的に」、21.8%が「金額は毎回同じではないが定期的に」となっています。
高校生は約2割が「定期的に貯蓄している」と回答しています。5.0%が「毎週・毎月など定期的に」、16.1%が「金額は毎回同じではないが定期的に」となっています。
中学生、高校生ともに最も多く回答しているのは「余裕があるときには、貯めている」です。
全体的に「貯める」意識があることがわかります。
(6)中学生の3割強、高校生の約6割がATMの利用経験がある
中学生の3割強が、高校生の約6割が「ATMの利用経験がある」と回答しています。
高校生になり中学生よりも行動範囲が広がることが、ATMの利用経験が増えている要因と考えられます。
(7)中学生の約3割、高校生の約7割が自分でキャッシュカードを保管している
中学生の約3割、高校生の約6割が「自分でキャッシュカードを保管している」と回答しています。
中学生の約5割が「預けている人と一緒にATMに行って、利用する」と回答しています。一方で、高校生は13.9%です。
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調査結果を見ての感想です。
全体的に、「お金をたくさん貯めたい」と思っている児童・生徒が7~9割います。
「お金を貯める」意識が高いことがわかります。
一方で、「定期的にお金を貯めている」としているのが2~3割程度、「余裕があるときには、貯めている」と4割強~5割弱程度で、実際の行動に移している割合は意識と比べて少ないように思います。
また、「定期的に貯蓄している」と回答している生徒は、「計画を立ててお小遣いを使う」、「お釣りをもらったら確認している」、「レシートをもらったら金額を確認し、持ち帰っている」と回答している割合が高くなっているという調査結果がありました。
意識が高いほど、自分のお金と向き合う行動をしていることがわかります。
お小遣いは、社会に出る前のお金の勉強に最適のツールです。
調査結果からも子どもたちの「お金を貯めたい」という意識が高いようなので、どのように「お金を貯めたら良いか」また「何のためにお金を貯めるのか」といった目的意識などを明確にして、行動に移していくことが大切だと思います。
学校教育で金銭教育・金融教育が導入されつつありますが、お小遣いを通して家庭での取り組みもしていけると良いですね。
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〈出典〉
以下の調査結果を参考に、図表を作成しています。
「子どものくらしとお金に関する調査」2015年度調査(第3回) 金融広報中央委員会
金融広報中央委員会では、平成17年度を金融教育元年とし、学校教育における金融教育の推進やお金の意識、金融経済等の調査を行っています。