皆さんは、「救急医療情報キット」をご存知ですか?
救急医療情報キットとは、
救急活動が必要な時に、迅速な対応を可能とするために、冷蔵庫に医療情報を保管しておくための筒状のキットです。
現場の救急隊員から、医療機関に情報が引き継がれるので「命のバトン」とも呼ばれています。
私がこのキットの存在を知ったのは、2013年か2014年頃だっと記憶しています。
ひとり暮らしをしている当時80代後半の祖父の自宅の冷蔵庫に入っていたからです。
祖父の住む自治体では、比較的早い段階で導入されていました。
(日本では、米国ポーランド市の取り組みを参考に、2008年に東京都港区で実施されたのが初めてのようです)
定期的に地域の民生委員の方が訪問してくださり、キットの作成や情報更新などのサポートを継続的に行ってくださる様子が見られました。
キットがあることで、本人だけでなく離れて暮らす家族の安心感も、とても大きいと感じています。
このように、現在では多くの自治体において、
主にひとり暮らしの高齢者向けに、無料でキットを配布しているところが多いようです。
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(1)キットがあることのメリット
- 冷蔵庫は見つけやすく、救急活動時に迅速な対応が可能
- 本人保管のため、最新情報に更新しやすい
- 事前に外部に知らせる必要がない
- 個人情報の外部への流出の可能性が低い
- 地震で家具なとが倒壊しても、冷蔵庫は潰れにくいためキットを取り出しやすい
以前、自治体窓口に確認したところ、冷蔵庫でのキットの保管については、救急隊員にも周知されていることだと教えてくださいました。
玄関の内側や冷蔵庫の扉の目印を手掛かりに、キットを探して下さるようです。
(2)キットに入れる情報
- 氏名
- 緊急連絡先
- かかりつけ医
- 診察券の写し
- 緊急時の対応情報
- 持病の既往歴、アレルギーの有無など
- 写真(本人確認のため)
- 健康保険証の写し
- 薬剤情報提供書の写し(お薬手帳の写し)
- 母子手帳の写し(妊産婦、子どもの場合) など
Q1.どんな人が用意しておくとよいの?
ーA1.年齢に関係なく緊急時や地震などの災害等に備えて、1人1キット!
特に、
- ひとり暮らしの高齢者
- 障害者で支援・介助等が必要
- 健康上の不安がある方
- 持病や常備薬がある方
- 妊娠中の方
- 小さい子どもがいらっしゃる方
自治体の無料配布の対象には該当しませんが、妊娠中の女性や乳幼児を抱えたママさんなどは、不安や心配事も多いと思います。ぜひ、備えておかれることをオススメします。
Q2.どこで手に入るの?
ーA2.主な入手先は、下記の3つ
- お住まいの自治体(ひとり暮らしの高齢者等を対象に無料配布している自治体が多いので、問合せしてみてください)
- ネット通販で購入
- 自分で作る(家にある物や100円ショップで材料を揃えることができます)
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救急時は、本人への問診が難しい場合がほとんどです。
また家族が一緒にいても、突然のことで状況の説明、持病や常備薬などの情報を正確に伝えることはなかなか大変です。
救急出動から医療機関収容まで一定の時間がかかる中、一分一秒を争う救急医療現場において、正確な病状を伝えることが急務です。
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エピソード
昨年のちょうど今頃のお話です。
自分の不注意から、お風呂掃除の際に、転倒して頭を強打しました。
はじめのうちは何とか話ができていたものの、次第に意識が遠のいていく感覚、立てない焦り、気持ち悪さも感じ、家族に救急搬送を頼みました。
保険証などを持ってきてもらうように、夫にあるはずの場所を伝えても「ない、ない、ない」とのこと。この時、保険証やお薬手帳などの病院セットをいつもの場所に戻していなかったのです。
(管理が悪い私・・・毎度反省です)
その時、夫に「冷蔵庫のあれを」とだけ伝え、キットと財布だけ持ってもらい、救急搬送していただきました。
かろうじて救急隊員の方と本人確認などの意思疎通ができたので、幸いにもキットを活用する場面はありませんでしたが、万が一言葉を発することができなかった場合や、子どもだけと一緒だった場合のことを想像すると備えは必要だな、と改めて痛感したのでした。
軽い脳震盪で済みましたが、お風呂掃除のときには、皆さんもお気を付け下さいませ。
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わが家の冷蔵庫には、家族3人分のキットを保管しています。
娘にも、また同じようなことがあった時には、救急隊員の方にもキットのことを伝えてね、とお願いしてあります。
もちろん使わずに済むことが一番ですが、備えあれば憂いなし。
家族の安心・安全のためにも、
子育て世代のもしもの救急時に備えて「救急医療情報キット」のご準備を!
そして、定期的な情報更新もお忘れなく!
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シリーズ【もしもに備える】では、子育て世代が「もしもの時」に備えて今からできること、知っておきたいことなどを少しずつお伝えしていきたいと思っています。
ファイナンシャルプランナー 原田幸子